電子工作に初めて取り組まれる方向けに、Arduinoを使った回路図を見て、ブレッドボード上に配線する方法を紹介します。
はじめに
私が初めて電子工作に取り組んで、まず困ったのは「回路図をみても何をどうすれば良いのかわからない」でした。当時はブレッドボードすら使ったことが無かったのです。
そこで、とっかかりとして、Arduinoを使った簡単な回路図をブレッドボード上に反映して、動作を確認する流れを紹介します。
小規模でも何かを完成させると、小さな成功体験になります。すると専門書を読む気力が出てきて、次のステップに進む足掛かりになりますよ。

Arduinoの入手について
電子工作をこれから始める方は、キットを買うと一気に最低限の実験環境が整って楽です。
例えば、以下のArduino入門キットはArduino本体はもちろん、ガイドブックやブレッドボード、ワイヤ、LEDや抵抗などが色々入っています。

▼ Arduino、そして電子回路に初めて触れる方向けの本があります。回路はイラストの配線図として描かれているので、回路に馴染みが無い方でも、抵抗なく読み物のように読めると思います。
巻末のリファレンスも便利で、手元に置いておくとプログラミング時にさっと確認できます。
サンプル課題
まず、サンプル課題としてこんな回路図を描いてみました。
ArduinoにスイッチとLEDを接続して制御するシンプルな回路です。

なおこの回路図だけでは、スイッチを押すとどんな動作をするのかは断定できません。
「スイッチを押すと、何が起きるか?」の指令を出すのは、Arduinoの役割です。
指令内容は、ユーザーが別途コードを書いて、予めArduinoに書き込んでおく必要があります。
ちなみに次項でコードを紹介しますが、今回は「スイッチを押すと、LEDが2回点滅する」という動作にします。
まず、Arduinoに指令を書き込む
Arduinoだけの状態で、付属のUSBケーブルでPCに接続して、回路の動作のためのコードをArduinoに書き込みます。
Arduino IDEをインストールする
書き込むためのソフト(Arduino IDE)は、Arduinoの公式サイトからダウンロードできます。
色々なバリエーションがありますが、この記事ではArduino IDE 1.8を使っています。

ソフトの使い方は、公式サイトのリファレンスがわかりやすいです。
▼ 以下のページのQUICKSTART GUIDE をクリックして、Arduino IDE 1.8 をクリックするとソフト使用の流れを見られます。
ボードにコードを書きこむ
あとはArduinoとPCを付属のUSBケーブルで接続し、IDEを立ち上げて、ボードにコードを書きこみます。
まず左端のチェックボタンを押すと、文法のエラーなどが検出されます。修正が済んだら、右の矢印ボタンを押すと、コードがボードに書き込まれます。

書き込むプログラムは、今回の動作では以下の通りです。
//ボタンをおすと、点滅を2回繰り返す。
#define PBSW 2 // SWのピンNo.
#define LED 8 // LEDのピンNo.
int state = 0;
int sw=1,old_sw=1;
void setup() {
pinMode(PBSW,INPUT);
pinMode(LED, OUTPUT);
}
void loop() {
sw=digitalRead(PBSW);
if(sw==0 && old_sw==1) { // SWに変化があったらステータスに記録。
state = 1;
delay(50); // デバウンス
}
old_sw = sw;
if(state == 1) {
for (int i=1; i<=2; i++){
digitalWrite(LED, HIGH); // LED点灯
delay(500);
digitalWrite(LED, LOW); // LED消灯
delay(500);
}
state = 0; // 処理が終わったので、ステータスを初期状態に戻す
}
}
ブレッドボードを観察
▼ 部品は、ブレッドボードに搭載します。

ブレッドボードがあると、半田付け無しで回路を配線することができ、とても便利です。
▼ 導通している部分に線を引いてみました。
電源とGNDラインとして横1行ずつ、部品設置部分は、a~e の5行×30列、f~j の5行×30列 が内部でそれぞれ繋がっています。

上下の 電源・GNDライン は導通していないので、両方に配線する場合はジャンプワイヤなどで接続する必要があります。
また、穴がビッシリ隣り合っているので、挿す部分を間違えないよう、ご注意ください。
電源とGNDを接続
では、早速配線していきます。
まず電源とGNDを配線します。とりあえずブレッドボードの+と-の行に、それぞれジャンプワイヤを差し込みます。

今回の回路では、Arduinoで作られた5Vを供給するので、Arudinoの5Vピンと、ブレッドボードの電源ラインをワイヤで接続します。
そして、GNDはArduinoのGNDピンと接続します。

Arduinoへの差し込み先を絶対に間違えないようにしてください。
ショートするなどしてArduinoが破損する可能性があります。
(他のピンと隣り合っていて分かりづらいかもしれませんが、ラベルを見ながら落ち着いて作業して下さい)

部品を載せる。回路図をそのまま反映する気持ちで
部品を載せました。

回路図と、ブレッドボードに載せた部品を比べるとこんな感じ。
回路図をそのままボードに実現するようなイメージです。

回路図でつながっている箇所は、ブレッドボード上でも必ずつなげるようにします。
例えば、回路図ではスイッチもLEDもGNDに接続されています。
この場合、各部品をブレッドボードのGNDラインに接続して、更にブレッドボードとArduinoのGNDと接続します。
ちなみに、GNDのブレッドボード内の配線はジャンプワイヤでも良いですが、スズメッキ線を使うとスッキリして、見やすくなります。
(下図の矢印部分)

▼ スズメッキ線は、電子工作関連のショップで購入できます。
Arduino本体に電源を供給する
配線が終了したので、Arduino本体に電源を供給します。
Arduino unoの推奨入力電圧は7-12Vなので、9Vのスイッチングアダプターを接続します。
乾電池でも構いませんが、個人的にはスイッチングアダプターの使い勝手が良いので使っています。

▼ スイッチングアダプターは、秋月電子などで購入できます。
▼ Arduino UNOの仕様
(Tech specsに推奨入力電圧などが記載されています。)

配線完了
これで、一通り部品を接続できました。

動作を確認する
では、動作を確認してみます。
スイッチを押すと、LEDが2回点滅します。
成功です。

これで、この記事の作業は終了です。
おすすめ書籍の紹介
さいごに、電子工作関連で、私が気に入っている本を紹介します。
▲ 上段の「はじめての電気回路」で、まずは基本的な電気の理論を勉強しました。オームの法則、直列と並列の合成抵抗の計算の丁寧な解説から始まって、交流回路まで学べます。ダイオードやオペアンプなど電子回路については下段の「図解でわかるはじめての電子回路改訂新版」が詳しいです。
▲ この本は、趣味の電子工作を始めた頃から大いにお世話になっています。
回路図や記号の読み方から始まり、抵抗やトランジスタなど基本的な部品の使い方(回路例やデータシート上の値の意味など)が解説されており、実践的な便覧として使えます。
私が持っているのは2007年の初版ですが、2021年に改訂新版が出ており、Arduino、Raspberry Piなどが取り上げられています。
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