自作の3D CGを、YouTubeに「360°全方位動画」としてアップロードする手順を紹介します。
動作デモ
▼ デモです。再生後、マウスか指でグリグリすれば全方位を見られます。
緑色の物体は洗濯機のつもりです。
使うソフト
今回は、以下のソフトを使いました。
後処理のためプレミアプロを使いましたが、Blenderだけでも360°動画のアップロードは可能です。
作業目的 | 名称 |
---|---|
3Dモデル作成 | Blender 2.81 |
映像編集(効果音追加や映像長さ編集など後処理) | Adobe Premiere Pro |
3D CGを用意する
この工程では、3Dモデルの作成からレンダリングまでを行います。
使用ソフト:Blender 2.81
モデリング
とりあえずどんどん形を描いていきます。
室内

外側

アニメーションの設定
少しは動く部分も入れたかったので、タオルを回すことにしました。
本当は洗濯機のドアをパカパカ開閉したりしたかったのですが、断念。
ここで凝ってしまってアニメーションが複雑になりフレーム数が嵩むと、動画の出力に時間がかかってしまいます。
下側のタイムライン上にキーフレームを作ります。
対象を選択して、Iキーを押すと制御項目のメニューが出てきます。今回はタオルをただ回転させたいので「回転」を選択しました。

仕上がりデモ

背景の設定
HDRIを使って、背景に設定しておきます。
HDRIはHigh Dynamic Range Imageの略で、CG作成時に使うと背景写真としてだけではなく、照明としても活用できます。
▼ 今回は、こちらの有名サイトを利用させて頂きました。高品質のHDRIを無料かつ、ライセンスはCC0という有難いサイトです。


レンダープロパティ
レンダープロパティタブ内で、レンダーエンジン「Cycles」を選択します。

出力プロパティ
出力プロパティ内で、最低限以下の設定をします。
- 解像度…アスペクト比 2:1推奨(YouTubeヘルプ-ステップ1より)
- 開始、終了フレーム数を入力。(今回は20フレームだけ出力します)
- 「立体視」にチェックを入れる
- ファイルの出力先を指定する
- ファイルフォーマットを「FFmpeg動画」に指定
- エンコーディングを「MPEG-4」に指定
▼設定画面の様子。ちなみに、解像度は間違えていつもの16:9(1920×1080)のままにしてしまいました。

カメラの設定
次に、肝心要のカメラ設定を進めます。設定値について詳しく知りたい方は、以下のサイトをご覧下さい。
参考サイト
▼ 操作手順だけでなく、設定値の考え方まで詳しく解説されたチュートリアル記事です。スクリーンショットはBlenderの2.7以前だと思われますが、2.8でも入力項目は存在します。

▼カメラ設定値周りの、公式ドキュメントです。
さて、今回はコインランドリーの部屋の真ん中に、カメラを設置しました。

そのカメラを選択し、カメラのプロパティを以下の設定にします。
- レンズタイプ:パノラマ状
- パノラマタイプ:正距円筒図
- 立体視モード:軸外

動画を出力します
これで、いよいよ出力します。「レンダー」から「アニメーションレンダリング」を選択すると実行されます。

20フレームで、15~20分程度かかりました。

(補足)Blenderの出力ファイルを直接アップする場合
今回はこの後動画編集ソフトで仕上げを行いますが、Blenderで出力が完了したこの段階でもYoutubeに公開が可能です。
ただし、YouTubeが指定するメタデータを追加する必要があります。
ツールで簡単に行うことが可能です。以下が、そのリンクです。
▼公式ヘルプのステップ2をご覧ください。
仕上げの編集(効果音の追加など)
ここからは、動画編集ソフトを使って仕上げの処理を行っていきます。
使用ソフト:Adobe Premiere Pro
今回は、以下の処理を行います。
- 正面位置の調整
- 効果音の追加
- フェードアウト
参考サイト
Adobe Premiere Pro には、VRビデオの編集機能が備わっています。
以下の公式サイトのチュートリアルを見ながら、編集を進めました。
動画長さのカサ増し
レンダリング時間の節約のため、20フレーム分しか出力していません。
これでは一瞬で終わってしまうので、1分半程度にカサ増ししました。
※クリップをコピペして繋げただけです。
正面を決める
正面位置( 動画の再生直後に表示される場所 )を変えようと思います。
ショボイですが動いてる部分(洗濯機の中のタオル)を見せたかったので、位置をずらしました。
全体に調整レイヤーを配置し、「VR回転(球)」というエフェクトの「パン(X軸)」の値を変更しました。

効果音の追加など
雰囲気を出したいので、効果音を追加します。
マシンっぽい環境音は、Youtubeの公式ライブラリーの効果音素材を利用しました。
- YouTube 公式 オーディオ ライブラリ (要ログイン)
あとは映像の最後にフェードアウト効果を入れておきました。
※カラーマットをかぶせて、透明度を調整
最終的に書き出し
これで、やっと書き出せます。
以下の設定をしておきます。
- ソースのスケーリング:出力サイズ全体にストレッチ
- ビデオ:「VRビデオとして処理」にチェックを入れる。
- フレームレイアウト:立体視-上/下。

完成です!
YouTubeにアップロード
あとは、通常通りYouTubeにアップロードするだけです。
▼出来上がり
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